News / Nunn Road / 1999 / 1999年7月 子供の行動

毎日元気いっぱいに「これをやりたい」「あれをやりたい」と意欲的に行動している子供達を目の前にして、「これが子供なんだ」「これが7歳までの子供の成長の仕方なんだ」と改めて感激させられています。

今回は少し大人と子供が行動するときの態度の違いにふれてみたいと思います。大人は行動する前にまず第一に考えます。この事をするのは、どういう意味があ るのか、どういうやり方をしようかなど。そして第二に仲間に働きかけたりします。そこには感情的な関わりが生ずるようになります。そして最後に行動に移し ます。思考→感情→意志の順番です。では、七歳までの子供たちはどうでしょうか。子供達はとにかく自分のまわりのことを模倣しようとします。まず行動す る。そして、その行動が遊びの中で繰り返されながら、「おもしろい」「楽しい」という感情が入ってきます。そして、だんだん「こうやってみよう」「ああ やってみよう」という知的関心が目覚めるようになります。意志→感情→思考の順番です。このように大人と子供は全く逆の仕方で環境から影響を受けて行動し ていることになります。

この当たり前のことに、とても大きな幼児教育の鍵があるように思えます。くどくどと説明したり権威でものを聞かせることは この学齢の子供達の魂にとって は受け入れがたいものです。また、知的教育もマイナスの効果を表すことになります。彼らにとって大切なことは、模倣できる大人がまわりにいて、繰り返しの リズム(注:毎日規則正しく一定の生活のリズムを繰り返すということ)があれば、それを楽しく覚え、身につけていきます。大人が「覚えなさい、やりなさ い」という必要がないのです。

また、大人がこういう想像力の豊かな子供達のことをよく知っていたら 「叱る」よりちょっと違った言葉かけをしてみることも出来ると思います。私の体験で すが、室内で飛行機を持って走り回っていた子がいました。「だめよ」「静かにしなさい」を繰り返しても、その子は一向に言うことを聞きません。自分自身も それを繰り返しているうちに疲れてきて・・ でも、次の瞬間に「ちょっと飛行機の運転手さんにお話があるんだけど」と切り出すとその子は「なあに」と話を 聞いてくれました。「空港に着く頃よね」と2人で話を続けて、その子は飛行機を静かに着陸させてくれたのでした。

子供の発達を無視したやり方をすれば、大人にとって子供はうるさくて煩わしいものになるのは当たり前だと思います。でも、大人が自分自身を振り返りながら、子供の成長を見守っていくことが出来たら、保育や育児がこの上もなく感動的なものになっていくのではないでしょうか。


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